「王はいらない」、アメリカ各地で反トランプ政権デモ イランとの戦争や移民政策を非難

動画説明, トランプ政権に抗議する「王はいらない」デモ、米各地の様子
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アメリカ各地で28日、トランプ政権に反対する大規模な抗議行動が行われた。「No Kings(王はいらない)」の集会はこれで3度目となる。

28日の抗議行動について主催者は、ドナルド・トランプ大統領が実施した政策や、イランとの戦争、移民取り締まり、生活費の上昇などに抗議するため、800万人以上が参加したと推計した。

主催者は「トランプ氏は、専制君主として私たちを支配しようとしている。しかし、ここはアメリカで、権力は国民のものだ。王になりたがる人物や、その億万長者の仲間たちのものではない」と述べた。

ホワイトハウスの報道担当者は、抗議行動を「トランプ錯乱症の治療セッション」と呼び、「関心を持っているのは、取材するために報酬を受け取っている記者だけだ」と語った。

BBCは、主催者側が示した参加者数を検証・確認できていない。これまでの「No Kings」抗議行動も、同様に数百万人規模と推計されてきた。

28日の日中、アメリカのほぼすべての主要都市でデモが行われた。参加者らは、各地の小都市や町にも集まり、さらにパリやロンドンでも集会が開かれた。

首都ワシントン中心部では午後を通して集会が行われ、大勢が街を行進した。抗議者らはリンカーン記念堂の階段に並び、ナショナル・モール国立公園にもぎっしりと詰めかけた。

これまでの「No Kings」と同様、参加者らはトランプ氏やJ・D・ヴァンス副大統領などの政府高官を模した人形を掲げ、その解任と逮捕を求めた。

公園の中をプラカードを掲げて行進する大勢の人々。プラカードにはトランプ政権へのさまざまな批判の言葉が書かれている。また、アメリカやウクライナの国旗も見える

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画像説明, 「11月には投票するように!」、「弾劾、有罪、追放」、「トランプを今すぐ追い出せ」など、さまざまな内容のプラカードを手に、大勢が集まった(28日、首都ワシントン)
白い石造りの建物を背に、大勢の人が集まり、トランプ氏や政府高官の顔を模した人形やさまざまなプラカードを掲げている。写真手前では複数人が横断幕を持っている

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画像説明, トランプ氏や政権高官らの名前と共に「彼らを逮捕しろ」と書かれた横断幕を掲げる人々(首都ワシントン、28日)

ミネソタ州では特に大きな抗議活動が行われた。同州ミネアポリスでは今年1月、ルネー・ニコール・グッド氏とアレックス・プレティ氏のアメリカ市民2人が、移民当局の連邦職員に殺される事件が発生。トランプ政権の移民政策への怒りと全国的な抗議運動につながった。

28日には数千人が州内の通りを埋めた。州都セントポールの州議会議事堂前の特設ステージには、多数の著名な民主党関係者が登壇した。

歌手のブルース・スプリングスティーン氏も登壇。グッド氏とプレティ氏の殺害から間もなく発表した曲「Streets of Minneapolis(ミネアポリスの道)」を披露した。この曲は、移民取り締まりに反対する内容のもの。

広場を人々が埋め尽くし、旗やプラカードを掲げている。プラカードは移民政策に反対するものが多い

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画像説明, ミネソタ州の州都セントポールの州議会議事堂の外に集まった人たち。「アメリカには王はいらない」、「私たちは移民の隣人を愛している」などとプラカードに書かれている。「8+6+4+7=25」は、「第47代大統領を追い出せ、憲法修正第25条」を表す。修正25条は、大統領が職務遂行不能になった場合の継承手続きを定めたもの(28日)
広場のステージに置かれたマイクの前で、スプリングスティーン氏が左手に持ったアコースティックギターを掲げている。紺のスウェットに茶色いスカーフを巻いている

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画像説明, ミネソタ州での抗議集会に参加したブルース・スプリングスティーン氏(28日、セントポール)

ニューヨークのタイムズスクエアにも数千人が集まり、マンハッタンのミッドタウン地区を行進した。警察は抗議参加者の通過を優先し、通常は混雑している通りを封鎖した。

ニューヨークでの抗議行動に参加した俳優で映画監督のロバート・デ・ニーロ氏は、BBCのトム・ブルック記者に対し、トランプ氏に抗議するために行動を起こすことが不可欠だと感じたと語った。

デ・ニーロ氏は、「あの男については、日を追うごとに状況がどんどん悪化していくことに、より多くの人が気づき始めていると思う」とトランプ氏に関して述べ、「この国は今では戦争中だ。あの男は次に、地上部隊を投入する。彼は正気じゃない」と語った。

「それくらい単純な話だ。私たちはあの男に立ち向かい、政権に立ち向かい、あらゆる手段で闘わなくてはならない。平和的に、しかし抵抗しないとならない。そうするしかない」

トランプ氏はこれまでの政治活動の中で、デ・ニーロ氏と度々衝突している。2月には、同氏を「病的で倒錯した人物」で「極めてIQが低い」と呼んだ。

トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、デ・ニーロ氏は「自分が何をして何を言っているのかまったく分かっていない──その一部は深刻に犯罪的だ!」と投稿した(太字は原文では大文字)。

昨年10月に行われた前回の「No Kings」抗議行動では、ニューヨーク市警が、市内の5行政区全体で10万人以上が集まったと発表した。

タイムズスクエアを空から写した写真。さまざまな広告が掲げられているビルの間の通りを人々が埋め尽くしている

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画像説明, ニューヨークではタイムズスクエアを抗議参加者らが埋め尽くした(28日)
プラカードを掲げる男性を正面から写した写真。背後にはデモ行進に参加する人々が見える。大勢が蝶や花の形のプラカードを掲げている

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画像説明, 「体制転換は国内から始まる」とプラカードで主張する男性。ニューヨーク市では、多くの反戦プラカードが掲げられた(28日)

国土安全保障省(DHS)によると、ロサンゼルスでは2人が連邦職員への暴行で逮捕された。

DHSはソーシャルメディア「X」で、群衆を「1000人の暴徒」と呼び、ロイバル連邦ビルを囲んでDHS職員に物を投げ始めたと説明。その結果、2人の職員が投げつけられたセメントブロックで負傷し、治療を受けていると述べた。

またロサンゼルス市警は、連邦刑務所の周辺で退去命令に従わなかったとして「複数の逮捕」を行ったと発表した。

警察は、連邦当局が現場で群衆を移動させるために「非致死性の措置」を用いたことを認めた。その際、抗議者らに「門を破壊しようとしないこと、物を投げないこと」を警告していたと述べた。

ダラスでは、「No Kings」デモに反対する人々が道路を封鎖して行進を妨害する「小競り合い」が発生し、逮捕者が出たと、ロイター通信が伝えた。

一方、パリやロンドン、リスボンといった欧州の都市でも、在外アメリカ市民が抗議行動に集まった。

主催者が発表した800万人という推計参加者数は、昨年10月の前回の「No Kings」集会の約700万人を上回った。

大規模な抗議活動に伴い、複数の州で州兵が動員されたが、主催者は各地の行動が平和的に実施されていると強調している。

石碑のある広場でプラカードを掲げて抗議する人々

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画像説明, パリのバスティーユ広場では、在仏アメリカ人やフランス人が抗議した(28日)

トランプ氏は昨年1月にホワイトハウスに復帰して以来、大統領権限を拡大して行使し、連邦政府の一部を行政命令で解体するとともに、州知事らが反対する中で州兵をアメリカの各都市に派遣してきた。

また、政権の司法当局高官に対し、自分が政敵とみなす人物の訴追を求めている。

こうした動きについてトランプ氏は、危機にあるアメリカを立て直すために必要だと主張。自分が独裁者のように振る舞っているという非難をヒステリーだとして退けてきた。昨年10月には米FOXニュースのインタビューで「彼らは私を王と呼んでいる。私は王ではない」と述べた。

しかしトランプ政権を批判する人々は、政権の一部の動きは違憲で、アメリカの民主主義への脅威だと警告している。