ロシアの石油タンカーがキューバ沖に到着、トランプ氏が制裁緩和か

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ロシアの石油タンカーが30日までに、キューバ沖に到着した。ロシアの通信社が報じた。これに先立ち、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、石油供給をめぐる制裁措置の緩和をうかがわせる発言をしていた。
キューバに石油タンカーが到着するのは、1月以来。アメリカは1月3日、キューバの強力な同盟国、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束した。キューバはヴェネズエラから、極めて優遇された条件で石油の供給を受けていた。
トランプ米大統領は、キューバに石油を輸出する国々に関税を課すとも脅していた。
しかし、トランプ氏は29日、ロシアなどがキューバに石油を輸出することについて「何の問題もない」と発言。これは、トランプ政権が1月からキューバに対して行ってきた、事実上の石油封鎖措置の緩和を示唆するものと受け止められた。
トランプ政権の措置によって、以前からキューバで起きていた燃料不足が深刻化し、全国的な停電が相次いでいた。
ロシア・メディアは、ロシアのタンカー「アナトリー・コロドキン」号は「人道目的輸送」として、10万トンの原油を運んでいると報じた。
世界保健機関(WHO)は先週、深刻な燃料不足により、キューバの病院が救急医療や集中治療サービスの維持に苦慮していると警告していた。
米財務省は19日、ロシアからの石油供給を禁止する対象国にキューバを追加したばかりだった。
ところが、トランプ氏は29日、これまでの戦略を転換させるかのような発言をした。ロシアがキューバに石油を輸出することについて、「何も問題ない」と、大統領専用機エアフォース・ワンの機内で記者団に話した。
「あそこに1隻のタンカーがある。誰かが船いっぱい(の燃料を)得るのは構わない。彼ら(キューバの人々)には必要だからだ(中略)生き延びなくてはならないから」
この発言が、いわゆる燃料封鎖政策の恒久的な転換を意味するのか、それとも一時的な緩和に過ぎないのかは明らかではない。トランプ氏は同日、「キューバはおしまいだ」などと、キューバ政府への脅しを再び強めるような発言もしており、真意は分からない。
「悪い体制だ。指導部はとてもひどく、腐敗している。石油を積んだ船が来るかどうかは関係ない」と、トランプ氏は述べた。
ロシアのタンカーは、キューバ・マタンサスのターミナルで荷下ろしするとみられる。
ロシア、アメリカと事前に協議と
クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアは「キューバの友人に必要な支援を提供するため、進んで対応するのが自分たちの責務」だと考えていると述べた。
今回の輸送については、「かなり前から(中略)アメリカ側と協議していた」とも、ぺスコフ氏は付け加えた。
キューバ当局は、ロシアのタンカーの到着について、アメリカによる石油封鎖措置を「打破する」ものだとしている。
ロシアのタンカーが輸送する石油は、キューバにとって短期的な生命線になるとみられる。
ミゲル・ディアスカネル大統領率いるキューバの共産党政権は、この燃料危機の打開策を模索するため、トランプ政権と協議を続けている。
しかし両国はこれまで、政治的・経済的なレッドライン(越えられない一線)を多数、お互いに公然と示しており、妥協点を見出すのは難しそうだ。
トランプ氏は最近、自分はキューバを「手に入れられる」などと発言している。これに対し、キューバ指導部は、政府の人事や政策方針に対する、いかなる強制的変更も受け入れないと反発している。
キューバはすでに、新型コロナウイルスのパンデミックによる観光客の減少と、政府の経済運営の失策が重なり、冷戦終結以来最悪の経済・エネルギー危機に直面していた。
また、イランが米・イスラエルによる攻撃への報復として、重要な石油輸送路であるホルムズ海峡を事実上封鎖していることも、燃料不足に拍車をかけている。










