キューバ全土で停電、1週間で2度目 アメリカの燃料封鎖の影響

動画説明, 通りを照らすのは車のライトだけ……再び停電のキューバ、BBC特派員が取材
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ウィル・グラント中米・キューバ・メキシコ特派員(ハバナ)、ハリー・セクリッチ記者

カリブ海の島国キューバで22日、1週間で2度目となる全国的な停電が発生し、1000万人以上が影響を受けた。

キューバのエネルギー省はソーシャルメディアで、「国家電力系統の全面的な切断が発生した」と説明した。

キューバの電力網運営会社UNEは、病院や給水施設などの「重要」拠点を優先しながら、送電の復旧を段階的に進めているという。

首都ハバナでは、同日午後までに半分ほどで電力が復旧したと、同市の電力会社が明らかにした。

キューバでは、アメリカが燃料供給を封鎖して以来、発電所の稼働に必要な海外からの原油輸入が途絶えており、今月に入って3度の大規模停電が発生している。

共産党が統治するこの国は、老朽化した電力インフラと慢性的な燃料不足に苦しんでいる。

週末には、国際的な社会主義団体の連合がハバナに到着し、太陽光パネルや基本的な食料品、医薬品などの支援物資を届け、キューバ政府への支持を示した。

メキシコを出発した支援船団「ヌエストラ・アメリカ(私たちのアメリカ)」は、荒天の影響で遅れたが、3月23日にハバナ港に到着する見通しだ。

こうした危機と全国的な停電を受け、同国では珍しい抗議活動も起きている。16日には、ハバナ中心部で市民らが鍋やフライパンを叩いて政府への不満を表明した。中部の街モロンでも、抗議者が共産党本部を襲撃して放火した。

キューバでは無許可のデモは違法で、拘束される恐れがある。

ハバナに住む男性の1人はBBCに、「本当にひどい状況だ」と話した。「政治的にも経済的にも問題があり、経済にしろ社会にしろ、あらゆる種類の危機がある。何十年も続いていて、問題が積み重なっている」。

別の女性は、「住む場所も逃げる場所もない。若い人も年配の人も仕事がない。なにもかも、少しずつ失われてきた」と述べた。

停電で真っ暗になった住宅街の通りをバイクが走っている。ヘッドライトの先に、通りに集まっている人々が見える

画像提供, Reuters

画像説明, キューバでは全国的な停電が繰り返し起きている(16日)

米軍が1月3日に南米ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領(当時)を電撃的に拘束し、アメリカへ移送して以来、ドナルド・トランプ米大統領は、キューバにも同様の作戦実施を検討しているのか、繰り返し問われてきた。

トランプ氏は、燃料禁輸措置を解除する条件として、ヴェネズエラと協力関係にあるキューバのミゲル・ディアス=カネル大統領の退陣を望んでいるとされる。

トランプ氏は先週、キューバに対して「友好的な占領」があり得ると示唆した。その後、キューバを手に入れるのは「名誉なことだ」とも述べた。

一方、キューバのディアス=カネル大統領は、人道支援物資を届けに来た支援者らに対し、アメリカの軍事的侵攻に備えて「国民の防衛態勢を高めるための準備計画」があると話した。

また、アメリカと危機の終結に向けた2国間協議の初期段階を開始していると認めたものの、進展状況は明らかでない。

ロイター通信によると、キューバのカルロス・フェルナンデス・デ・コシオ外務次官は20日、「キューバの政治体制は交渉の対象ではなく、そしてもちろん大統領やキューバのどの公職者の地位もアメリカとの交渉の対象ではない」と述べた。

(追加取材:ガブリエラ・ボッカッチオ記者)