イラクの米大使館に攻撃、UAEは再び空域一時閉鎖 中東各国に戦争の被害広がる

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米・イスラエルとイランの戦争が続くなか、湾岸各国で双方の攻撃とその被害が報告されている。イラクの首都バグダッドでは17日早朝、アメリカ大使館がドローンとロケット弾による攻撃を受けた。一方、アラブ首長国連邦(UAE)は、イランからのミサイルとドローンの脅威を受けて空域を閉鎖。報道によると、のちに再開された。
イスラエル軍は、イランの首都テヘランのほか、シーラーズやタブリーズなど各都市で「大規模な空爆の波」を開始したと発表した。
こうしたなか、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリアの首脳は共同声明を発表。イスラエルによるレバノンでの大規模な地上攻勢は「壊滅的な人道上の結果」をもたらすと警告した。
イラクに「最も激しい攻撃」
ロイター通信とAFP通信の報道によると、バグダッドの在イラク米大使館がドローンとロケット弾による攻撃の標的になった。
治安当局者は「3機のドローンと4発のロケット弾が大使館を攻撃し、少なくとも1機のドローンが大使館内部に激突した」と述べた。
目撃者は、米大使館に向かって飛ぶ3機以上のドローンを見たと語った。
ロイター通信によると、2機は撃墜されたが、3機目が大使館の敷地内に突入した。
AFP通信の取材を受けたイラクの治安筋は、「一連の攻撃が始まって以降、最も激しいものだ」と述べた。
イラクでは今週、攻撃が相次いでおり、この夜の攻撃も17日未明まで続いた。
16日には、バグダッドの厳重に警備された「グリーンゾーン」にある高級ホテルで、ドローンが火災を引き起こした。この区域には政府機関の建物や外国大使館が集まっている。
アメリカ大使館は攻撃を受ける約6時間前、イラクに滞在しているアメリカ国民に対して新たな安全情報を発表。その中で、「イランと連携する武装勢力が、バグダッド中心部のインターナショナル・ゾーンを繰り返し攻撃している」と警告していた。
UAE、「予防措置」で空域を再閉鎖

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UAEの航空当局は17日早朝、イランからの差し迫った脅威を受け、「例外的な予防措置」として同国の空域を一時閉鎖した。
ロイター通信によると、UAEの民間航空総局(GCAA)は「地域の安全保障情勢が急速に変化していることを受け、同国の空域を一時的に閉鎖する」と発表していた。
しかしその後、国営WAM通信は、GCAAがUAEの空域全体で航空管制が通常に戻ったと発表したと伝えた。GCAAは、航空航行の安全性を最高水準で確保するため、「継続的なリアルタイム監視を維持している」と強調している。
UAEでは前日の16日にも、国際線利用者数が世界最多のドバイ国際空港が、近くの燃料タンクへのドローン攻撃を受けて一時閉鎖された。
同国の空域は、ヨーロッパとアフリカ、アジアを結ぶ回廊として、世界の航空にとって極めて重要だ。
英紙タイムズが航空アナリストの話として報じたところでは、現在、東に向かうイギリス発の乗客の50%以上、そしてヨーロッパ方面に向かうオーストラリア発の乗客の65%が、UAEのドバイ国際空港とザイード国際空港、そしてカタール・ドーハのハマド国際空港の、中東の主要国際空港3カ所を経由している。
中東を通過する商業航空は、一連の攻撃の影響を大きく受け、危険空域を避けるために航路を変更せざるを得ない状況が続いている。この結果、エジプトやジョージアなどの国々に航空機が流入しているという。

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アメリカとイスラエルによる攻撃を受けるイランは、その報復として湾岸諸国の輸送・石油インフラを標的とした攻撃を続けている。
戦争が始まって以降、イラン軍はUAEに向けて、ミサイルとドローンを1900発以上発射しているという。
BBCのアザデ・モシリ記者は16日放送のBBCグローバルニュースのポッドキャストで、UAEは「この戦争に不当に巻き込まれたと感じている」と説明。
「イランは、UAEにこうした圧力をかけることによって、同国の指導者がアメリカに戦争終結を働きかけると考えているのかもしれない。しかし実際には、UAE当局者は激怒している」と述べた。
英仏独伊カナダが共同声明、レバノン情勢で
カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスの各首脳は16日、レバノンの人道状況が「深刻に憂慮すべきものだ」とする共同声明を発表した。イスラエルとレバノンに、「持続的な政治的解決」に向けた協議を始めるよう求めている。
共同声明は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対し、武装解除とイスラエルへの攻撃の停止を促している。また、同組織を「イランとともに敵対行為に加わるという決断」をしたとして非難している。
声明は続けて、「イスラエルによる大規模な地上攻勢は壊滅的な人道上の結果をもたらし、長期化する紛争につながりかねない。それは回避されなければならない」と述べた。
声明が出された16日夜には、イスラエルがレバノンの首都ベイルート各地に空爆を行ったと報じられた。レバノンの国営通信は、空爆が南部の地域に限定されていたと伝えている。
イスラエル軍はこの前に、レバノン南部でヒズボラに対する「限定的かつ標的を絞った地上作戦」を開始したと発表していた。
ヒズボラはイランの支援を受けており、イギリスやアメリカなどがテロ組織に指定している。
これまでに3000人以上が死亡と人権団体、米兵も13人
アメリカ軍当局者によると、この戦争でのアメリカ兵の負傷者は約200人に増え、死者は少なくとも13人となっている。
アメリカに拠点を置く人権団体の人権活動家通信(HRANA)は、アメリカとイスラエルが2月28日にイランとの戦争を開始して以降、中東ではこれまでに3000人以上が死亡したと推計している。このうち1351人が民間人、1126人が軍関係者だとしている。
レバノン保健省は、これまでに同国内で886人の死亡を報告している。その中には67人の女性と111人の子どもが含まれる。
そのほか、UAE、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、オマーンでも、戦争関連の死者が報告されている。








