【解説】 ホルムズ海峡への艦船派遣、アメリカの同盟国や中国の見解は

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マロリー・メンチ、パトリック・ジャクソン
アメリカのドナルド・トランプ大統領は17日、イランとの戦争において、アメリカは他国の支援を必要としないと述べた。ほんの数日前までは、世界の運輸の要衝ホルムズ海峡の安全を確保するために協力してほしいと、同盟国に求めていたが、主張を転換した。
トランプ氏は、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に手厳しい内容を投稿。北大西洋条約機構(NATO)同盟国の「ほとんど」が、戦争にかかわりたくないと伝えてきたと明かした。
「しかしながら、私は彼らの行動に驚いてはいない。私は常にNATOを(中略)一方通行だと考えてきたからだ。我々は彼らを守るが、いざという時に彼らは我々のために何もしない」
同盟国に対して3月14日に協力を要請した当初は、「この人為的な制限の影響を受ける中国、フランス、日本、韓国、イギリスなどが、艦船を派遣してくれることを願っている」と、トランプ氏は述べていた。
2月28日にイスラエルとアメリカがイランを攻撃して以来、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖。インドや中国向けのイラン産原油を積んだ一部の船舶を除き、通行できていない。
戦争が2週間以上続く中、ホルムズ海峡に残る複数の商業貨物船が「正体不明の飛翔体」による攻撃を受け、1人が死亡したと報じられている。
ホルムズ海峡は通常、世界の石油の約2割が通航する。この海峡の事実上の封鎖は、原油価格を高騰させている。アジアの一部の国々は、燃料を節約するための対策を講じている。
トランプ氏は17日の投稿で、どのNATO加盟国が支援を申し出たのかについては言及しなかった。
私たちは、NATOの主要加盟国や中国、そのほかの国々の立場について、分かっていることを以下にまとめた。
イギリス
キア・スターマー首相は16日の記者会見で、ホルムズ海峡の再開に向けて、アメリカや欧州諸国、湾岸地域のパートナーたちとの、「実行可能な計画」を策定するための協議が続いていると述べた。ただ、「決定を下す段階には至っていない」とした。
エド・ミリバンド・エネルギー担当相は15日、BBCの政治番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」に出演した際、イギリスがドローンや艦船の派遣を検討しているかどうかを問われた。「ホルムズ海峡の再開に役立つあらゆる選択肢を、同盟国と歩調を合わせて検討しているので、安心してほしい」と、ミリバンド氏は答えた。
作戦上の詳細について言及を避けつつ、ミリバンド氏は、「紛争を終わらせることが、海峡を再開するための最善かつ最も確実な方法だ」と重ねて述べた。
ドイツ
ドイツの政府報道官は、イランとの戦争は「NATOとは無関係」だとしている。ボリス・ピストリウス国防相は、「トランプ氏は、ホルムズ海峡で、強力なアメリカ海軍でさえ単独では対処できないと考えている問題に、ヨーロッパのフリゲート艦数隻が何をもたらすと期待しているのか」と疑問を示した。
「これは我々の戦争ではない。我々が始めたものでもない」
フランス
エマニュエル・マクロン大統領は、情勢が「もっと落ち着けば」、ホルムズ海峡でコンテナ船やタンカーの護衛任務に参加する用意があると述べている。
そのような任務は「進行中の戦争行為や爆撃とは完全に切り離されたものでなくてはならない」と、マクロン氏は17日の閣議で語った。
「フランスには、この地域における単純かつ明確な責務がある。それは、自国民と自国の利益を守り、誰にとっても信頼できるパートナーとなり、緊張緩和と安定に向けて取り組むことだ」
フランスの空母打撃群は現在、「防御的」任務のために東地中海で展開している。
中国
林剣外務省報道官は16日、ホルムズ海峡への艦船派遣について、アメリカから要請があったのか、またどう対応するのかと記者から質問されると、「中国は改めて当事国に対し、直ちに軍事行動を停止し、緊張のいっそうの悪化を回避し、地域の混乱が世界経済に一層の影響を及ぼすのを防ぐよう呼びかける」と答えた。
また、中国は「事態の沈静化に向けて、関係国と連絡を取っている」とした。
韓国
外務省は15日、トランプ氏の発言を「注視」しているとBBCに説明。韓国とアメリカは「緊密な意思疎通を継続し、慎重な検討を経て決定を下すつもり」だとした。
「韓国政府は、中東情勢に関する動向を注意深く監視しており、韓国国民の保護とエネルギー輸送路の安全確保のため、総合的に考慮しつつさまざまな措置を検討している」
安圭伯国防相は17日に国会で、ホルムズ海峡への軍艦派遣には国会承認が必要だと述べた。
日本
高市早苗首相は16日、護衛艦の派遣について、アメリカから要請されていないと述べた。
そのうえで、「日本政府として必要な対応を行う方法を現在検討中」だと説明。「日本の法律の範囲内だが、どのように日本関係船舶、およびその乗員の命を守っていくか、何ができるかということを検討中」だと、高市氏は話した。
高市氏は19日に米ワシントンでトランプ氏と会談する予定。
欧州連合
欧州連合(EU)のカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)は16日、EUの紅海での海軍任務の権限を変更するという提案には「今のところ、受け入れようという機運がない」と述べた。
「ホルムズ海峡で自国民を危険にさらす用意のある者はいない」と、カラス氏はロイター通信に述べ、「(海峡の)開放を維持するための外交的手段を、私たちは見出す必要がある」と付け加えた。











