英首相、中東での紛争は「迅速かつ早期」には終わらないと警告 「我々の戦争ではない」とも強調

画像提供, UK Parliament/ PA
ケイト・ワンネル政治記者
イギリスのキア・スターマー首相は23日、米・イスラエルとイランの戦争が「迅速かつ早期に終結するという誤った安心感に陥ってはならない」と、自身のチームに警告したことを明らかにした。
スターマー氏はこの日、下院の主要議員からなる連絡調整委員会の公聴会に出席。自身はこの戦争の「迅速な緊張緩和」を望んでいると話したが、同時に、政府としては「この紛争がしばらく続く可能性を前提に計画を立てなければならない」と語った。
また、この紛争は「我々の戦争ではない」とし、イギリスが関与する場合には「合法的根拠」が必要だと語った。
アメリカのドナルド・トランプ大統領はこの日、同国とイランの協議が「非常に力強いもの」で、「敵対行為を終わらせる合意に至る非常に真剣な可能性がある」と発言した。
紛争の影響を受けて高騰している原油価格は、この発言の後に下落した。
一方、イランの外務省は、交渉が行われていること自体を否定している。
スターマー氏は、アメリカとイランの「協議を歓迎する」と述べ、イギリス政府は協議が行われていることを把握していたと付け加えた。
「当面の最優先事項は、紛争の迅速な解決と、とりわけ核兵器に関連し、交渉を通じてイランに厳しい条件を課す合意を実現することだ」
しかしスターマー氏は、協議が直ちに成功する「確実性はない」と警告。この紛争が経済に及ぼす影響について協議するため、主要閣僚およびイングランド銀行(英中銀)のアンドリュー・ベイリー総裁と共に、緊急事態対策委員会「COBRA会議」開いていると述べた。
米・イスラエルのミサイル攻撃を受け、イランは重要な石油輸送路であるホルムズ海峡を事実上封鎖しており、この動きが原油とガスの価格を押し上げている。
イギリスでは現在、エネルギー価格に上限が設定されている。スターマー氏は、この措置が終了する6月と、一般に家庭の光熱費が増加する9月に、政府がどのような支援を提供できるかを検討していると語った。
そのうえで、24日の議会でレイチェル・リーヴス財務相がCOBRA会議の結果を説明すると述べた。
スターマー氏は支援について、「前回どれほどの費用がかかったかを強く意識している」、「公的財政の状況を強く意識している」と述べた。
この発言は、政府が広範な支援ではなく支援の対象を絞る可能性を示唆したものと思われる。また、ロシアによるウクライナ侵攻直後のエネルギー価格上昇を抑えるため、前の保守党政権の下で導入されたエネルギー料金制度に言及しているようでもあった。
さらにスターマー氏は、政府は「不当な利得に対処するための措置を検討している」と述べ、「競争・市場庁(CMA)にどのような追加の権限を与えることができるか検討する可能性があると思う」、「この分野には十分な規制がないと思う」と語った。
先週末には、政府で生活費対策の顧問を務めるリチャード・ウォーカー氏が、エネルギーと燃料の小売業者がこの危機に乗じて利益を得ることを阻止するため、一時的な利益上限を設ける措置を政府に求めていた。
英首相官邸はCOBRA会議後に声明で、「CMAのような規制当局が不当な値上げを摘発するのに役立つ、新たな反利益乱用の枠組みが設けられる」と述べた。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首も、政府に対し「北海での掘削、炭素税の削減、燃料税引き上げの撤廃」を求めている。
「我々の戦争ではない」と強調
トランプ氏はここ数日、イランへの最初の攻撃の際にアメリカがイギリスの基地を使うことをスターマー氏が認めなかったことについて、繰り返し批判している。
連絡調整委員会でこの批判について問われたスターマー氏は、「語られたり行われたりしている多くのことは、間違いなく、私に圧力をかけるためのものだ。そのことに疑問はなく、私は事態を完全に理解しており、揺らぐことはない」と述べた。
「わたしの職務は、イギリスの国益にとって最も重要なことに、絶対的に集中することだ」
イギリスの紛争関与について語る中でスターマー氏は、「合法的な根拠と実行可能で十分に練られた計画が必要だ」と述べた。
また、それが「正式な攻撃に参加しなかった理由」だが、アメリカがイギリスの基地を使用してイランのミサイル関連施設を攻撃することは認めたと述べた。
そのうえで、「これは我々の戦争ではなく、我々はこの戦争に巻き込まれていない」と強調した。
政府の防衛対策に疑問と批判の声も
公聴会で最も緊張が高まった場面は、スターマー氏がイギリスの防衛態勢についての質問に直面した時だった。
議員らは、政府が英海軍の45型駆逐艦ドラゴンを東地中海に派遣するまでに時間がかかったことに懸念を示した。
議会防衛委員会のタン・デシ委員長(労働党)は、イギリスの対応は「恥ずべきもの」だったと示唆した。
政府に対しては、防衛投資計画の公表が遅れていることについても疑問が投げかけられている。
バーナード・ジェンキン議員(保守党)は、計画の未策定が「物事を停滞させている」と述べ、政府が「戦闘態勢の心構え」を欠いていると非難。これまでのプロセスは「甚だしい慢心の表れだ」と付け加えた。
スターマー氏は、それは「長年にわたり前政権が投資不足に陥っていた事実の表れだ」と即座に反論。保守党政権で国防相を務めていたベン・ウォレス氏が、英軍が「骨抜きにされた」と発言していたことを取り上げた。
そのうえで、防衛投資計画は自分の机の上にあり、「最終段階にある」と述べた。
防衛投資計画については、財務省と首相官邸との予算をめぐる衝突で停滞しているとの報道もある。
スターマー氏は、欧州連合(EU)の1500億ユーロ規模の防衛基金「欧州のための安全保障行動(SAFE)」への参画についても質問を受けた。
スターマー氏は、イギリスが同制度の第1段階に参加しなかったことは遺憾だと述べ、今後のブリュッセルでの協議で議題に上るだろうと語った。
下院ではこの日、首相が委員会に出席していた同じ時間、ジョン・ヘイリー国防相が中東情勢の最新情報を報告。その中で、20日朝にインド洋のディエゴ・ガルシア島にある英米合同軍事基地の方向に向け、イランのミサイル2発が発射されたことを認めた。
ヘイリー氏は、「1発は目標に届かず、もう1発は目標の手前で撃ち落とされた」と述べ、「いずれもディエゴ・ガルシアに接近せず、イギリス側は行動を取る必要がなく、通常業務は継続している」と付け加えた。
また、45型駆逐艦ドラゴンが東地中海に到着し、「今夜、同盟国と共にキプロス防衛への作戦統合を開始する」と述べた。











